私は、こんな職場をつくりたいと思っています。
経営学者ピーター・ドラッカーの言葉に、
「本質において一致
行動において自由
すべてにおいて信頼」
というものがあります。
全員が、何もかも同じである必要はありません。
考え方も違えば、得意なことも違う。仕事の進め方や、生徒への接し方にも、それぞれの個性があります。
細かく計画を立ててから動く人もいれば、まず行動しながら考える人もいる。言葉で励ますのが得意な人もいれば、黙って寄り添うことのできる人もいます。
やり方まで一つにそろえてしまえば、それぞれが持っている良さは失われてしまいます。
だからこそ、行動においては自由でありたい。
しかし、自由とは「好き勝手にやる」ということではありません。私たちが何のために働き、どんな教室をつくろうとしているのか。その本質においては、一致していなければなりません。
私たちの仕事は、ただ勉強を教えることではありません。
生徒一人ひとりと向き合い、その成長を支え、これからの人生を自分の力で歩いていけるようにすることです。
目指すところが一致しているからこそ、それぞれの考え方や方法を尊重できます。
そして、自由に任せるためには、信頼が必要です。
互いに信頼できなければ、細かな指示や確認ばかりが増えていきます。任せることができず、失敗させないことばかりを考える職場になってしまいます。
もちろん、失敗することもあります。考え方が食い違うこともあるでしょう。
それでも、目指している本質が同じなら、話し合い、修正し、また前へ進むことができます。
失敗しない人を求めるのではなく、失敗と向き合える人を信頼する。自分と同じ方法を求めるのではなく、その人なりの力を発揮してもらう。
私は、そういう職場でありたいと思っています。
そして、この言葉は、教室で学ぶ生徒たちにも当てはまります。
教室には、さまざまな生徒が通っています。
得意な教科も違えば、苦手な教科も違います。理解する速さも、集中できる時間も、覚えやすい方法も、一人ひとり違います。
何度も書いて覚える生徒もいれば、声に出して覚える生徒もいる。まず説明を聞きたい生徒もいれば、自分で問題に挑戦してから質問したい生徒もいます。
それをすべて同じ方法にそろえる必要はありません。
大切なのは、全員を同じ形にすることではなく、「成長する」という本質において一致することです。
志望校に合格したい。
成績を上げたい。
苦手なことから逃げずに向き合いたい。
昨日の自分より、少しでも成長したい。
目指す方向が一致しているなら、そこへ向かう道は一つでなくていい。行動においては、もっと自由であってよいと思います。
ただし、ここでも自由を支えるのは信頼です。
先生は、生徒が成長できると信じる。
生徒は、先生が自分のために向き合ってくれていると信じる。
保護者は、子どもの可能性を信じる。
信頼がなければ、自由はただの放任になります。反対に、信頼のない指導は、細かな指示と管理ばかりになってしまいます。
すぐに答えを教えたほうが早いこともあります。細かく指示を出したほうが、こちらは安心かもしれません。
それでも、ときには任せ、待ち、見守ることが必要です。
失敗したとしても、自分で考え、自分で選び、もう一度立ち上がる。その経験もまた、大切な成長だからです。
私たちが目指しているのは、一方的に何かを教え込む「教育」ではなく、生徒も先生も、ともに学び、ともに育つ「共育」です。
職場でも、教室でも、全員が同じである必要はありません。
考え方も、得意なことも、歩く速さも違っていい。
ただし、目指す本質は見失わない。
それぞれの行動を認め、自由を尊重する。
そして、すべてにおいて互いを信頼する。
「本質において一致
行動において自由
すべてにおいて信頼」
そんな職場、そんな教室を、仲間たちと一緒につくっていきたいと思います。
